私は就職活動の経験がなかったので、どうするのが正解なのかなかなかイメージできませんでした。履歴書に書く内容。服装はスーツで行くのかカジュアルでいいのか。面接時の会話など。
いろいろ考えた結果2つの事を決めました。まずは自分の直感を信じる、そして中途半端なことはしないということです。
履歴書
履歴書は埋めるのが難しいからこそ、埋めると目立つんじゃないだろうかと思いました。でも無駄な情報がいくら詰まっていても意味が無いので、向こうの目線に立った内容を詰め込んで役に立つかもと思われたい。
絵の上手い人は文字にも味があります。どんな文字にしよう。
趣味・特技の欄に何を描けば気になってもらえるでしょうか。その会社が制作予定のアニメに関連する特技があれば、有利なのではないだろうかなど。
服装
面接だけならスーツを着たほうが無難。そして私はそっちのほうが安心する性格でした。向こうも悪い気はしないはずです。固い服装を着るからには細かいところも注意して、靴だけスニーカーとかシャツよれよれ、髪ボサボサなんてことにはならないように身だしなみに注意しました。
同日に試験があるなら、おそらくカジュアルの方がいいでしょう。着なれていて腕の動きを妨げないような服装にします。
面接対応
面接時は最初と最後はとにかく丁寧に。細かな話が始まったら固くないほうがいいと思います。固くならないためには、考えすぎず・嘘をつかずに、思ったことをできるかぎりそのまま答えました。都度考えこんでたら、相手に不安感を与えて空気が悪くなります。
就職活動を振り返って
私は結局2社目で受かりました、ただ1社目を受けてから2社目を受けるまでの間には1年ほど期間が開いています。その理由は絵の描き方の変化にありました。2社とも作品集というよりは、練習やラクガキを描いたクロッキー帳1冊を提出したのですが・・・。
1社目
漫画やアニメの静止画を見ながら描いた模写ばかりでした。
面接官はその会社の社長だったのですが「こんな絵ばかり描いていてはだめだ」と言われました。ショックでしたが作品集の傾向を見直して考えました。結果、模写ばかりしてても仕方がないということ、模写するにしても何を描くかしっかり選ばないと意味がない、という指摘だと判断しました。合格はしませんでしたが、ここが大きな変化点になりました。
2社目
解剖学を学ぶ際に描いた骨格・筋肉についての絵や、人体のバランスの取り方の練習絵でした。立体感と骨と肉のつながりを意識したものです。ハイライトの付け方を特に意識しました。最後の数ページに模写をしましたが、見たまんまではなく自分流の解釈も加えました。合格しました。
間の一年
面接官の社長の指摘をもとに何を描くか考えた時期です。この1年間で得たものがアニメータになるまで、そしてなってからもとても役に立ってくれました。注意されることは自分を見直す大きな原動力になります。
作品集は、自分の実力と目標が明確に伝えるように作りました。目指しているアニメーターがいれば、自然とその人の絵を真似ます。自分に課題があることを知っていれば、それを克服するための練習をするはずです。そういう絵を見れば、審査する人にも自分の目標が伝わります。そこでやっと将来性を勘定に入れて審査してくれるのではないでしょうか。
とりあえず目にしたものの模写だけ、それもこの瞬間の模写は効果的なのか?なんていう絵だと、現時点の実力も図れないし、課題も見えてこない。審査のしようもないですよね。
私の描きたい絵は、立体感があってやわらかさを感じる絵です。また当時は自分の描く人体に違和感を持っていて、それを解決したいと思いました。特に関節。筋肉の凹凸がいびつに見えてしまうのもなにを勉強すれば解決するのか考えました。
模写をするにしても100%人の線に引っ張られる必要はないんです。たとえプロが描いている絵だとしても、自分はこう思う・こうであるはずだ、という所が必ず出てくるはずです。でもプロが描いているんだから、自分が間違っているんだと考えを曲げてしまうのは間違いだと思います。今の時点で「自分はこう思う」と、その線を自信を持って描くことが大切です。
たとえそれが間違っていたとしても、一度意識して引いた線については自然に考えるようになるので、少しずつでも正解に近づいていくはずです。後から、「あっ!あの線はこれを表していたんだ」と気づくこともあれば「やっぱりこれは違うと思う」という時もあります。大切なのは自分の頭で考えて、意識して理解を深めることです。そこから生まれる線は、猿真似の線より自身を向上させ、自分の味にもつながっていくと思います。
また、何をおいてもまず「人間」。とりあえず人間が描けないとどうしようもない。動物やメカを描ける事も大切かと思いますが、人の次と考えてもいいと思います。というか、人間をうまく描ける人は動物やメカもうまく描けると思います。解剖学などを勉強すれば、それらは人間の派生として考えられるようになります。
余談ですが、どちらの会社でも経済状況に関して聞かれました。親の理解はあるのか?とか、家から遠くないか?とかです。ネガティブなことを言って落とされるようなことが無いよう、はっきり大丈夫ですと言い切りましょう。