動画作業の手順

1.原画の線を動画用紙にトレスします(トレスした素材を以降「原トレ」と記述します)

2.原トレの間の絵(中割り)を描きます。間に何枚入れるかはタイムシートに、どのタイミングを描くかは原画の詰め指示から確認します。

3.塗り分けが必要な部分が分かるように、裏から色鉛筆で塗り分けます(裏塗り)。
※トレスが1枚できるたびにでもOK。

【その他作業】
・タイムシートに動画・カメラの情報を書き加える。
・合成がある場合、合成伝票を書く。
・カット袋に名前や動画枚数を記入。
など

作業にかかる時間の計算

動画作業はとにかく指定されたスケジュールに間に合わせる事が大切です。
そのために無理な場合は、初期段階で責任者にハッキリ伝えて、妥協案の提示やヘルプを頼まないといけません。ただその見極めが甘くて信用されなければ、やる気がないだけと思われてしまうので注意が必要です。

まずカットの内容に目を通して、すべての原トレにかかる時間を計算します。最初の原トレは見極め通り、2枚目からはカット慣れからおのずと速度が速くなるのも計算に入れます。そして中割りにかかる時間は、前後の原トレ1枚にかかる時間から想定します。

私の場合は中割りはトレスの約1.5倍くらいを見ていました。中割りとトレスで半々な感じです。原トレよりトレス時間が短縮されるのは、自分の描いたラフの線はなぞりやすいのと、中割りは動きの中でサッと通り過ぎてしまう絵なので、原画トレス以上に時間をかけていてはいけないと思っていたからです。一発割り(※ラフを書かない)ができそうな場合も原トレの作業時間は超えないように意識していました。

これでひと通りの作業時間を割り出せます。でも始めた当初は原トレにかかる時間をぱっと見て割り出すのは難しいですよね。その想定ができるようになるまでは、試しに1枚トレスしてみて、そこでかかった時間を基準にします。

そして、描いた動画をチェックしてもらうために1時間くらいは見ておく。チェッカーさんがすぐチェックできる状態かも分からないので、ある程度余裕を持つ。そしてチェック後の修正から再チェックにも1時間くらいでしょうか。自分の作画時間を確保するより、チェック時間の確保の方が断然作品にとって有益で大事なので、ここは削れません。

上記の計算ができれば「今日の16時までにこのカット間に合う?」と聞かれた際に「14時までには終わります(昼食は終わってからでいいか)」とか「無理です、中割り4枚のヘルプをお願いします。その部分の原トレを先に済ませて、1時間後までには渡します」などの返答ができます。

そして本当にその時間を守って仕上げる事を積み重ねて、発言を信用してもらえるようになっていった気がします。大物カットで皆で手分けして作業するような時に、作業の分配を任されたりすると嬉しいものです。

無理でもどうしてもやってと言われる時もあります。その場合は妥協案ですね。「間に合わせるためには中割りの線や裏塗りが荒くなるので、出来ればチェッカーさんにこのカットは急ぎと話を通しておいてください。チェックと修正のために1時間は確保します」とか伝えておいたり。

ヘルプ要員で「中割り3枚30分で上げて!チェックはナシ!!」なんてこともあり、無理に間に合わせた事もありました。その後1時間くらい手が震えて他の作業が出来なかったりして。終わった瞬間からはいい思い出です。

目標を設定

想定する作業時間は現時点での自分の速度であって、常にそれをなぞって作業していても成長がありません。なので月間の目標枚数は多めに見積もって、達成するために現状より効率を良く作業できる方法を考えます。月間の目標はそのまま作業可能な日数で割って1日の目標枚数として意識します。

これは同じ作業時間で速度を速めるのが目的です。作業時間を長くする事で枚数を増やそうとは考えませんでした。翌日に疲れを持ち越して、月間では結局プラスマイナスゼロなんて事になるからです。

最初は基本的に自分との戦いですが、ある程度自信が出てきたら、他の人の枚数も意識しましょう。そこからは誰がチャンスを掴むかの勝負。判断基準は色々あると思いますが、誰が今月一番枚数が多かったかなんてのは必ず見られています。もちろんそのクォリティも合わせて見られています。

上手い動画とは?

動画におけるクォリティの高さってなにか?
今までよく考えました。
その考えの右往左往をまとめてみました。

〇もちろん前後とつじつまの合う、自然な中割をする(これは経験と勉強が必要)。
これが完璧に出来るんだったら即原画になれるんじゃ・・・くらい難しいです。

〇とにかく線をきれいにと思い、長い線を一発できれいに引けるように練習。
だが一発で引いたらいけない所もあるということを知る(というか引いていいところの方が少ないような気が)。

〇細い線が綺麗な線だと勘違い
最初HBとかを使って細く描いていたのですが、基本Bくらいがいいらしいです。
細いのは綺麗に見えるけれど、実際はそうではない場合が多い。
Bで綺麗に引けない人は、HBでも綺麗に引けてないんじゃないかなと思います。
手首の負担もBの方が少ない。

〇最初はすべて割ってから裏塗りしていたが、線抜けがひどく、以後一枚トレスするごとに裏塗りに変更。

〇紙を汚さないように手袋をつけながら作業していたが、すぐ穴が開くし洗濯も面倒なので、ラフ用紙を手の下にひいて作業に変更。

〇初期は必ずラフを書いて中割していたが、近い場合は一発割の方が滑らかになる(そして早い)。

〇割り終わった後、一枚の絵として不自然なところがないか確認する。
裏返したりしてみると、顔のパーツがゆがんでたり、目の形がおかしかったりする。
特に回転運動は注意。

〇消しかすは気づいたらすぐ払う。紙にこびりついて離れなくなったりする

〇机にライトをつけてみたが、下からの光と合わさってトレスしにくくなったので撤去。

〇机で飲食しない。いつのまにか紙に油の点々が付きます。

まだまだありますが、おおまかにはこんなこと考えてました。
あー今考えると馬鹿なこといっぱい試したなぁ。
それが今につながるわけですが・・・。