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アニメーターになるには、アニメを制作するには。

アニメの制作に携わりたい、けれどアニメーターになるにはどうしたらいいのか。体験談を交えながら紹介します。

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高畑勲監督講演会

スタジオジブリ・レイアウト展開催の関連イベント、高畑勲監督講演会(アニメーション映画における空間表現について)を聞いてきました。

いろいろな話を聞きましたが、主となる話題はディズニーと日本アニメの空間表現の違いでした。


ディズニーの空間表現
「タテ」つまり奥行きに関する空間表現が乏しく、「ヨコ」を多用している。
また「タテ」方向に障害物を置かない(人の後姿等)。
これらはまるで、現実の舞台を見ているような視界であり、客観的かつ冷静にその場面をとらえることができる。

ではなぜ、「タテ」方向に関する表現が乏しいのだろう、その理由は西洋人が、正面顔を描くことが不得手だからではないか。
西洋の美術では、正しく正面を向かせないものが多い。
鼻に対する立体感を求めて、タッチをつけたり、鼻だけ歪めてしまう傾向にある。

また、構成要素全体(キャラクター等)を同一画面になかなか入れない。
切り返しを用いることにより双方の情報を提供して、その後の展開を観客に考えさせる。

(例)ピノキオ逃げる→鯨追う→ピノキオ逃げる→鯨追う、の繰り返し(「ヨコ」方向)。

結果、観客は与えられたアクションを客観視して、その後どうなるのか想像して、ハラハラしながら見ている。

客観視の特徴として、感情を引き出しやすいということがある。
赤の他人の失敗(客観)は笑えるが、自分に関係する人間の失敗(主観)は、そう簡単に笑うことはできないものである。

あくまでも、自分とは関係のない出来事として認識しているために、観客には常に考える余裕があり、作品にはのめり込みづらい。
観客は自ら見るという意識を持ち、維持しなければならない(見る準備のできている観客)。

そんな中で、映画では与えることのできない主観視を、ディズニーランドという現実世界で実現したのではないか。
アトラクションでは、自分がその作品の登場人物として、これから何が起きるのか分からないドキドキを体験することができる。


日本アニメの空間表現
「タテ」「ヨコ」共に積極的に使う。
「タテ」に障害物を置くことにより、まるで自分がその世界に存在するかのような(影から覗き込むような)リアリティを作り出す。

主人公視点なので、相手方の情報が少なく、これから何が起こるのか分からず、アクションが起こるごとにドキドキする(待ち構えているハラハラではない)。

(例)手前に逃げてくるピノキオと、後ろから追いかけてくる鯨をひとつの画面に表す(「タテ」方向)。

切り返しの連続による非現実的ではなく、実際の視点に近い空間表現を用いることにより観客を心理的に引き込み、意識を画面に集中させる。
結果、主観視を映像のみで実現することができた。

ただ、主観を求め続けたことにより、客観の要素が少なくなってしまってきている。
最近の映画では、観客が笑わなくなってしまった。

東洋人が「タテ」の表現を用いることができた理由は、違和感なく正面顔を描くことができるからではないか。
東洋人は、鼻に対するこだわりもそれほど強くなく、実際鼻も高くはない。
結果、立体感のない正面顔でも、受け入れることができた。
東洋人の美術作品では、リアルな正面顔が描かれる作品は多く、そのことにより平面的な絵に慣れ、たとえ鼻を描かない正面顔でも、違和感なく受け入れることができるほどになったのではないか。

主人公の視点に立ち、相手のキャラクターがこちらに向かって話しかける時などに、正面顔が生きる。

(例)セロ弾きのゴーシュのカッコウは、絵としては横から描いたほうが描きやすいのだが、ゴーシュから見た視点を実現するため、あえて正面を作画した


大体の要点は以上のとおりです。
思っていた以上に、アニメーター向きの話をして下さり、非常に勉強になりました。
遠出した価値は十分にありました。



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